江戸川病院

社会福祉法人 仁生社

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子宮頸がん

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子宮頸がん

子宮は骨盤の中にある臓器で、大きさは成人女性で鶏の卵程度です。子宮は妊娠した時に胎児を育てる「子宮体部」と入り口部分の「子宮頸部」に分けられ、子宮頸部は腟につながっています。子宮頸がんは子宮頸部にできるがんのことで、腟の近くにできた場合は、腟からの観察がしやすいため発見されやすいです。一方で、子宮体部に近い奥の方にできた場合は、発見が難しいこともあります。子宮頸がんは、主に子宮頸部にヒトパピローマウィルス(H P V)が持続感染することで発生します。

子宮頸がんの症状

子宮頸がんは、 CIN(子宮頸部上皮内病変)という前がん状態を経てがん化します。前がん状態のころは自覚症状がないことが多いですが、月経時以外の出血や性交渉に伴う接触出血がみられることもあります。子宮頸がんが進行すると、不正出血の回数や量が増えたり、においを伴う茶色のおりもの、水っぽいおりものがたくさん出ることもあります。

子宮頸がんの診断

組織を採取してがんを診断

通常、子宮がん検診は細胞診を行います。細胞診で異常が疑われた時は、精密検査としてコルポスコープ(腟拡大鏡)を用いた組織診を行い、病理組織診断(顕微鏡で確認する)で診断を確定します。子宮頸がんの主な組織型は扁平上皮がん(約75%)と腺がん(約23%)です。

  • 画像検査
    がんの広がり(進行度)を診断します。
    • 超音波検査、内診、直腸診
      子宮頸部の性状、周囲の臓器への広がりなどを調べます。
    • 骨盤MRI
      超音波よりも広い範囲で骨盤の内部を検査します。子宮頸部の大きさや性状、周囲の臓器への広がり、リンパ節が腫れているかどうかなどを調べます。
    • C T(P E T –CT)検査
      M R Iよりも広い範囲で、子宮から離れた場所への転移を調べます。

子宮頸がんの進行期(ステージ)

病気の広がりは大きくⅠ期からⅣ期までの4つの段階に分類されます。

基本的には、手術後にお腹の中の状況や病理検査の結果で診断します。

進行期分類 (日本産科婦人科学会2020, FIGO2018)

Ⅰ期:がんが子宮頸部だけにとどまっている

ⅠA期 病理学的にのみ診断でき、間質浸潤が5mm以下
ⅠA1期 間質浸潤が3mm以下
ⅠA2期 間質浸潤が3mmをこえるが、5mm以下
ⅠB期 がんが子宮頸部にとどまるが、間質浸潤が5mmをこえる
ⅠB1期 がんの大きさが2cm以下
ⅠB2期 がんの大きさが2cmをこえるが、4cm以下
ⅠB3期 がんの大きさが4cmをこえる

Ⅱ期:がんが子宮頸部をこえるが、腟の下1/3または骨盤壁に達してはいない

ⅡA期 腟への広がりが腟の上方2/3にとどまり、子宮傍組織浸潤はない
ⅡA1期 がんの大きさが4cm以下
ⅡA2期 がんの大きさが4cmを超える
ⅡB期 子宮傍組織浸潤はあるが、骨盤壁までは広がっていない

Ⅲ期:がんが腟の下1/3に広がる、骨盤壁に達する、水腎症やリンパ節に転移している

ⅢA期 がんが腟の下1/3に広がるが、骨盤壁に達してはいない
ⅢB期 がんが骨盤壁に達している、水腎症がある
ⅢC期 リンパ節転移がある
ⅢC1期 骨盤リンパ節に転移がある
ⅢC2期 傍大動脈リンパ節転移がある

Ⅳ期:がんが膀胱や直腸まで広がる、小骨盤をこえて広がる

ⅣA期 膀胱、直腸の粘膜までがんが広がっている
ⅣB期 小骨盤をこえて広がっている

子宮頸がんの治療

治療法は、卵巣がんの広がりや組織型に応じた標準治療に基づいて、体の状態、生活環境や合併症など総合的に判断し、ご本人やご家族と話し合って決めていきます。子宮頸がんの治療は大きく「手術」と「抗がん剤治療」、「放射線治療」に分けられます。

手術

前がん状態、子宮頸がんの手術には、レーザー蒸散術、円錐切除術、単純子宮全摘出術、

広汎子宮全摘出術があります。組織型やがんの広がりにより術式を決定します。

  • レーザー蒸散術
    子宮頸部の表面をレーザーで焼きます。前がん状態で行うことがあります。
  • 円錐切除術
    子宮頸部の出口を円錐状に切り取ります。前がん状態、ごく早期の子宮頸がんで行いまます。
  • 単純子宮全摘出術
    子宮を摘出します。前がん状態、ごく早期の子宮頸がんで行います。
  • 広汎子宮全摘出術
    子宮を周囲の組織も含めて摘出します。腟も少し長めに、リンパ節も摘出します。ⅠB期〜Ⅱ期の一部で行います。
進行期 治療法
前がん病変 レーザー蒸散術・円錐切除術
子宮全摘出術(単純・準広汎)
ⅠA1期
ⅠA2期 広汎子宮摘出術(準広汎)
または同時化学放射線療法
ⅠB期
ⅡA期
ⅡB期
Ⅲ期 同時化学放射線療法
ⅣA期
ⅣB期 化学療法・放射線療法

同時化学放射線治療

同時化学放射線治療は、放射線治療と抗がん剤治療を一緒に行う治療法です。抗がん剤と一緒に行うことで放射線単独治療と比較し有効性が高いことから、全身の状態を考慮した上で検討します。Ⅱ期以上の子宮頸がん、手術後の再発予防として行うこともあります。
放射線治療は、身体の外から放射線を骨盤に照射する外照射と、腟に器具を入れて直接子宮頸部のがんに照射する腔内照射があります。当院では、腔内照射のみ他施設で治療をしていただいております。

抗がん剤治療

子宮と離れた臓器に転移がある場合、がんが再発した場合には、ご本人の年齢や体力、全身状態に合わせて抗がん剤治療を選択することもあります。シスプラチンなどの白金製剤を中心にいくつかの抗がん剤を組み合わせたり、分子標的薬(ベバシズマブやペムブロリズマブなど)を用いる場合もあります。