社会福祉法人 仁生社
江戸川病院
2024-10-29更新
安全、安心をモットーに最先端の泌尿器科医療を皆様に届けるために
男性の癌では罹患率が1位である前立腺癌に対し、MRIフュージョン生検を2年前よりいち早く導入致しました。これによりMRIで疑いの濃い症例では9割を超える診断率になり、再生検のリスクが激減、不必要な生検が大幅に減ったことから合併症も減少しました。
治療もロボット手術、トモセラピーに加え、全国で2施設目となるフォーカルセラピーを2020年8月よりスタートさせました。また結石治療の為のレーザーも導入し、結石破砕率が大幅に向上しております。低侵襲で、診断・治療効果の高いものを取り入れて、皆様に今後もご提供させていただきます。今後とも宜しくお願い致します。
当院泌尿器科にて防衛医科大学校病院の堀口明男医師による尿道狭窄症治療(尿道形成術)が開始されました。
詳細につきましては、当院または防衛医科大学校病院までお問合せください。
da Vinci Xiによるロボット支援内視鏡下前立線切除術
2013年に導入、現在までに約500人の方に手術を受けて頂いています。
全国各地の患者様の治療の実績があります。
当院では日本で初めてda Vinci での前立腺癌手術を確立させた東京医科大学の術式を受け継いでいます。当院ではほぼ全員の患者様が合併症なく周術期を過ごされております。失禁に関しては術後半年後には、ほぼ90%以上の患者様が尿取りパッドなしか、安心用の1日1枚程度まで改善しています。
経尿道的尿管砕石術(TUL)は、尿道から内視鏡を膀胱内に入れて、さらに尿管内にまで内視鏡を進めて、 尿管の中にはまり込んだ結石あるいは腎臓の中の結石を破砕する手術です。
当院では、治療分野における最先端のスペックを備えているQuanta Lithoレーザーを使用します。優れた破砕効果と硬組織に対するアブレーション(蒸散)に適しているショートパルスモードと、軟組織の切開に高い効果を示し、周辺組織に対するダメージを最小限に抑えながら優れた止血、コアギュレーション(凝固)が得られるロングパルスモードを使いわけ、早期結石粉砕が可能です。
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)は、切除用の膀胱鏡を尿道の出口から膀胱内に挿入し、モニターでがんの場所を確認しながら高周波電気メスで病変を切除する方法です。当科では光線力学的内視鏡診断(PDD)を行っています。
手術前に光感受性物質である5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid:5-ALA)を内服します。5-アミノレブリン酸は体内の正常な細胞ではヘム(血液の原料)に代謝されますが、がん細胞ではヘムまで代謝されずにその中間産物(protoporphyrinIX:PPIX)が蓄積します。
このPPIXに青色の光を当てると、赤色に蛍光発色するという特徴があるため、それを利用することによりがん細胞と正常細胞の区別がつき易くなります。この原理を利用し、従来の方法では診断が困難であった小さながんや平坦ながんを診断できるようになったため、残存腫瘍を減少させ再発率を低下させることができると考えられています。
腹腔鏡手術は、従来の大きく腹部を切開する開腹手術に替わり、患者様への負担が少ない低侵襲手術として広く普及しています。
腹腔鏡手術では、皮膚を小さく切って小穴を開けて、内視鏡や手術用の道具をお腹の中に入れて手術を行います。創が小さく痛みが軽く手術後の回復が早いなど、体に対する負担が軽いということだけでなく、内視鏡により体の奥深い部位でも良好に観察でき、レンズで拡大して見ることにより、繊細な手術が可能であるなどメリットが大きい方法です。
当科ではハイクオリティな3D観察が可能な最新鋭の腹腔鏡手術システムを導入しています。現在、腎癌や腎盂尿管癌に対する手術を中心に行っています。
限局性前立腺癌に対するマイクロ波凝固治療を2020年8月より行っています。本治療はマイクロ波を用いて前立腺癌組織に直接熱を加え、凝固壊死を起こす治療です。従来の前立腺全体に対する治療とは異なり、前立腺癌病変部分のみを治療します。
したがって、治療に伴う有害事象や排尿、性機能障害を減らすことができると考えられています。欧米では数年前から行われている治療ですが、国内では現在のところ京都府立医科大学附属病院と当院でのみ治療が可能です。
当科では2020年8月より自由診療で「前立腺癌に対するマイクロウェイブを用いたフォーカルセラピー」を行ってきました。
この度、本治療が正式に厚生労働省に認められたことになります。
今後保険診療を目指して、京都府立大学を代表研究施設として全国8施設(都内では当院のみ)で多施設共同研究をすすめます。
※前立腺癌のすべてが先進医療の対象にはなりません。MRI所見、組織診断結果などに明確な基準があります。また、基本的に「先進医療特約」を契約されている方に限ります。
ただ、先進医療の対象にならない患者さんでも自由診療によるマイクロウェイブ フォーカルセラピーは可能です。
前立腺癌と診断され、最新治療に興味がある方は(できれば紹介状をお持ちのうえ)メディカルプラザ江戸川泌尿器科の水曜日の外来に受診ください。
PSA高値における従来の前立腺全体を標的とした系統的生検では、癌検出率が20-30%なのに対し、MRI-USフュージョン生検装置を使用することにより、約80-100%と画期的な変化をもたらしました。この結果、不必要な生検を減らし、より適切な治療法の選択が可能になりました。
骨やリンパ腺などへの転移が無く、周辺臓器にも浸潤していない限局性の前立腺癌は、根治療法が可能です。採血で腫瘍マーカーPSAを検査することで早期発見できます。その他の検査としては直腸指診、超音波検査、MRI検査を行います。精査の結果、前立腺癌が疑われる場合は前立腺生検を行います。
前立腺癌はリンパ節と骨(特に脊柱と骨盤骨)に転移しやすく、肺や肝臓などの他臓器に転移する場合もあります。骨に転移すると痛みや麻痺が生じることがあります。転移性前立腺癌に対してはホルモン療法が第一選択となります。
ホルモン療法の効果を認めなくなった前立腺がんは去勢(内分泌療法)抵抗性前立腺癌(castration-resistant prostate cancer: CRPC)と呼ばれる状態になります。通常はさらにアンドロゲンを強力に抑える新規ホルモン剤であるイクスタンジ(エンザルタミド)やアーリーダ(アパルタミド)やザイティガ(アビラテロン)を使用します。
近年はCTや超音波検査で早期発見されることが多くなっています。早期では無症状なことが多く、進行すると肉眼的血尿や腹部腫瘤、背部痛が出現することがあります。治療としては手術と薬物治療があります。
血尿や頻尿、排尿時痛といった症状があります。検査は尿検査、超音波検査、膀胱鏡検査、CT、尿細胞診を行います。表在性膀胱癌の場合は経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT)を行います。浸潤性膀胱癌の場合はTUR-BTでは根治切除はできませんので膀胱全摘術を行います。その他の治療法としては放射線治療、薬物治療があります。薬物治療には従来の抗がん剤治療の他に免疫チェックポイント阻害薬があります。
膀胱炎、前立腺炎、腎盂腎炎、性感染症は尿検査、血液検査、画像検査によって診断し、抗生剤の投与を行います。内服の抗生剤で治療可能な場合は外来通院、連日の点滴による治療が必要な場合には入院にて治療を行います。
腎臓で生成された尿は、腎盂・尿管・膀胱・尿道を通り排出されます。この尿路にできた結石を尿路結石といいます。結石が小さい場合は、尿路を通って自然排石される場合があります。自然排石が期待できる場合は外来通院での経過観察を行います。
過活動膀胱では、尿意切迫感が強く、多くは頻尿と夜間頻尿を伴います。切迫性尿失禁もある場合、生活の質(QOL)が損なわれることも、決して少なくありません。