社会福祉法人 仁生社
江戸川病院
足底腱膜と踵の付着部への伸張性または圧迫性の機械的負荷により微小損傷を繰り返し起こし形成される有痛性の変性病変が主体となります。そのため、長時間の立ち仕事や歩行、体重増加、靴の不適合、スポーツ(ランニングやジャンプなど)による使いすぎが主な原因と考えられます。10人に1人が生涯中に罹患し、約9割の患者は保存治療により12ヶ月以内に症状が改善すると言われています。
長時間の立ち仕事や歩行により、かかとの内側前方に痛みが出ます。
階段を昇る際や、つま先立ちなどで痛みがさらに増します。朝、起床して最初の1歩目に痛みを感じます。歩くうちに徐々に軽減し、夕方になって 歩行量が増えるに従い、再び痛みが強くなってきます。
同様の症状は、スポーツ活動の際にもみられます。
ランニングなどの開始時は痛みを強く感じますが、運動を続けるうちに徐々に軽快し、長時間になると再び痛みが強くなってきます。
①徒手検査
足底腱膜の圧痛、硬結評価
足底腱膜付着部の疼痛評価(Windlass test)
②画像診断
MRI
腱膜肥厚や変性、腱膜周囲炎や踵骨骨髄腫を認める。
超音波検査
腱膜の肥厚や低エコーで描出される変性像(右:正常/左:異常)
X線レントゲン
踵骨棘を認めることが多い。
基本的には保存療法が主体となります。
スポーツ現場では痛みの程度により運動制限を行います。
理学療法
運動療法や徒手療法にて機能改善を図ります。
装具療法
足部アーチの安定化のためインソールを作成。足底筋膜への負担を軽減することにより、足底筋膜炎の症状を軽減すると考えられている。
注射療法
ステロイド注射:強い抗炎症作用を通じて、除痛の即効性を認めます。
PRP療法:血小板成長因子を促進することによって自然治癒過程を刺激し、それにより足底筋膜の生理的治癒過程を促進させます。
対外衝撃波療法
2012年より「難治性足底筋膜炎」に対する保険診療が可能となりました。衝撃波の持つ物理的特性を用いて、除痛効果や組織の修復促進効果に加え、筋・筋膜の滑走性や柔軟性改善などの効果が期待されています。
血管内治療(簡易動注療法)
足底腱膜付着部周囲にできる「異常血管」を詰めることで痛みを軽減する治療です。外来で簡便に行うことができます。
血管内治療の詳細はこちらから(自費診療)
当科では、理学療法を主体とし、必要に応じ装具・注射療法を行ったうえで、難治性の場合には自費での血管内治療をおこなっています。
※対外衝撃波療法は行っておりません。希望の方は他院への紹介しております。
リハビリテーションでは、足底腱膜に生じる負荷を軽減させるため足関節や足部機能改善を図っていきます。
また、痛みの軽減に伴いスポーツ復帰に向けたアスレチックリハビリテーションも実施しています。
・足底腱膜へのストレッチ
足関節を反り、踵を固定しつつ、足趾を伸ばしてストレッチを行います。
足底部にボールなどを入れて直接ストレッチを行います。
・足関節背屈可動域訓練
足趾を上に持ち上げた状態で前に体重をかけてストレッチします。
タオルを用いて、足関節を上に反りストレッチします。
・High load strength training
段差上でつま先立ちとなり足趾の下にタオルを設置し、踵上げ下げ運動を行います。
足底腱膜と下腿三頭筋のストレッチとなります。
②筋力訓練
足部アーチ(土踏まず)が低下することで、体重や衝撃を支える力が弱くなり、足底腱膜に負担がかかり、硬化しやすくなり、痛みの原因となります。
筋力訓練を行い、足部アーチ(土踏まず)の改善を図っていきます。
・後脛骨筋エクササイズ
・タオルギャザー(足趾屈筋群の筋力強化)
足部にゴムバンドを巻き、足首を下に向けたまま内側にけるようにします。
地面にタオルを敷き、足趾全体でタオルを手前に引き寄せるように足趾の屈伸を繰り返します。
徐々に座位から立位へと運動強度を高めていきます。
足底腱膜炎に対するセルフケアはこちらのページをご参照ください
1.THOMAS TROJIAN et:Plantar Fasciitis・Am Fam Physician.2019 Jun 15;99(12):744-750.
2.Purnima Aggarwal et:Evaluation of plantar fascia using high resolution ultrasonography in clinically diagnosed cases of plantar fasciitis・Pol J Radiol.2020;85:e375-e380.
3.JAMES D et:Diagnosis and Treatment of Plantar Fasciitis・Am Fam Physician. 2011 Sep 15;84(6):676-682.
4.福林 轍ら:運動器スポーツ外傷・障害の保存療法 下肢・2020.11 5:269-275.
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