社会福祉法人 仁生社
江戸川病院
・舟状骨骨折:手をついて転倒受傷のパターンが多く、スポーツ競技ではサッカーやラグビー等で手関節伸展位(手の甲側に沿った姿勢)で痛めます。舟状骨は構造的に再生過程で血流不足を起こしやすく、一端骨折すると難治性となりやすいと言われています。
受傷時の肢位
舟状骨骨折の圧痛点とレントゲン像
文献1から
・有鈎骨骨折:野球やゴルフ等のグリップ動作や直接的な打撃によって生じると言われています。
有鉤骨の解剖とレントゲン像
文献2から
・中手骨骨折:スポーツではボクシング等の格闘技での受傷が多く、別名ボクサー骨折と言われています。特に小指に多くみられます。
レントゲン像文献3から
・舟状骨骨折:親指の付け根あたりの圧痛、握力低下、手関節の可動域制限、腫脹
・有鈎骨骨折:小指の付け根よりやや下周囲の圧痛、握力低下、手関節の可動域制限、腫脹
・中手骨骨折:指の付け根よりやや下での圧痛、握力低下、手関節の可動域制限、腫脹
舟状骨骨折
単純X線像で骨折部位が特定できないこともありCTやMRIが必要となることもあります
安定型骨折では手から前腕までのギブス固定での保存療法が可能ですが、不安定型ではスクリューによる手術療法が必要になります。
有鈎骨骨折
骨癒合に時間がかかるため基本的には手術的に骨片摘出をいます。新鮮例でかつ骨折面の転位がほとんどない場合や、時間的に余裕がある場合,手術を希望しない方にはギプス固定による保存療法を行います。
中手骨骨折
多くは保存療法で良好な成績が得られると言われています。転位が大きい場合はワイヤー固定による手術療法を選択することがあります。
中手骨頚部骨折へのワイヤー固定
(Foucher法)
※1 いずれの骨折も保存療法では3~6週程度の固定が必要です。
※2 日常生活動作の安定度やスポーツ競技復帰は骨癒合の程度で判断していきます。
それぞれの骨折で、上記の標準的な治療が可能です。
保存療法はもちろん、手術療法を選択することも可能です。手術療法では、相談に応じて全身麻酔ではなく、エコーガイド下に腕神経叢麻酔(ブロック麻酔)を安全に行え,日帰り手術も可能です。また、外傷で軟部組織の傷害や血流不全が合併する際にはそれらに効果的な高気圧酸素療法を併用することも可能です。
<リハビリテーション>
ギブス固定中
・腫脹軽減のための手指運動、上肢挙上
・スポーツ選手は軽いジョギング
ギブス固定除去後
・手指の関節可動域訓練
・手関節の可動域訓練
・握力強化
・巧緻動作訓練
・スポーツ復帰は健側握力の8割程度を目安とする
・スポーツ選手は持久力のリカバリー
<参考文献>
1.藤岡宏幸ほか:手舟状骨骨折. 臨床スポーツ医学,35:248-253,2018.
2.西浦康正:野球-有鈎骨骨折・手指血行障害.臨床スポーツ医学,35:292-296,2018.
3.加藤直樹:中手骨・指骨骨折.臨床スポーツ医学,35:258-262,2018.
4.沖本信和ほか:有鈎骨骨折の治療経験.整形外科と災害外科,42(1):149-152,1993.
5.国分正一ほか:今日の整形外科治療指針.Vol.6,2010.
6.斎藤英彦ほか:手外科診療ハンドブック.
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