社会福祉法人 仁生社
江戸川病院
・肘の外側(外側上顆)の腱が損傷して痛みを生じる疾患です
外側上顆炎といわれます。
・手首や指を伸ばす筋肉や腱が損傷することによって生じます。
・現在は打ち方が異なるため多くはありませんが、テニスのバックハンドで痛めることが多かったため「テニス肘」と呼ばれています。
・物を掴む、握る、指を多く使う方に起こりやすい疾患です。
・ものを掴む、握る時に痛む
・パソコンのマウス操作で痛む
・テニスのバックハンドで痛む
・肘から指にかけての安静時の痛み
・当科ではエコーを使って損傷部位を確認します。
基本的には保存療法主体で治療します(約90%の症例で改善していくと言われています)。
・生活指導:物を持ち上げる時には、脇を締め、そばによって、下から物を持ちあげるようにします。
・テニス肘サポーター:前腕部のパッドでの圧迫で腱に負担がかからないようにします。
・理学療法(リハビリテーション)
・注射治療:
炎症が強く夜間に疼くようなときはエコーガイド下に抗炎症薬を注射し鎮静化をはかります。
痛みの原因が神経にある場合はその周囲にエコーガイド下に生理食塩水の注射を行います(ハイドロリリース)
・PRP(多血小板血漿)/ 簡易動注療法
注射やリハビリテーションを行なっても症状が軽快しない場合には
PRPの注射や簡易動注両方を行なっています。
・手術
難治症例では手術治療(直視下or関節鏡視下)を行います。
<理学療法(リハビリ)>
・手首、指を動かす筋肉のストレッチを行います。
・肩周囲(特に内側に捻る動作)の柔軟性獲得により肘や手首にかかる負担を減らします。
・神経や靭帯周囲の組織が痛みの原因の場合その組織の柔軟性獲得を目指します。
<参考文献>
1.日本整形外科学会診療ガイドライン委員会:上腕骨外側上顆炎の診療ガイドライン,南江堂,東京,2006.
2.島村安則他:上腕骨外側上顆炎の診療ガイドライン, 岡山医学会雑誌,第123巻, 141-144,2011.
3.村岡邦英 他:上腕骨外側上顆炎に対する超音波検査の試み.日本肘関節学会誌,23(2)340-342,2016.
4.若林良明他:上腕骨外側上顆炎の診断と治療.MBOrthop,24(1):48-52,2011.
5.佐藤達夫他:橈骨神経-肘付近の絞扼要素.Journal of clinical rehabilitation,4(2):108-111,1995.
6.副島修:肘関節 肘外側障害 テニス肘の診断と治療(解説/特集).Orthopaedics,30:35-42,2017.
7.高原正利:上腕骨外側上頼炎の保存治療―文献調査―.整・災外.48:1025-1030,2005.
8.Boyer I, et al: Lateral tennis elbow: "Is there any science out there?". J Shoulder Elbow Surg. 8:481-91, 1999.
Sanders L, et al :The epidemiology and health care burden of tennis elbow. Am J Sports Med. 43:1066-1071,2015.
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