社会福祉法人 仁生社
江戸川病院
Osgood-Schlatter病は、成長期の脛骨近位端に生じる骨端症であり、脛骨結節に限局した痛みと腫れ、脛骨結節の触診時の痛みを特徴とします。
成長期では、膝関節を構成する大腿骨と脛骨の成長軟骨が成熟する過程で、長軸が伸びるため、大腿四頭筋の伸長が追い付かず、相対的に筋と、筋と骨をつなぐ腱が短縮した状態になります。大腿四頭筋が短縮し骨に対する牽引力がかかりやすくなっている状態で、かつにキックやジャンプ動作などによる、強い筋肉の収縮が繰り返されることによって、発育途中の脆弱な脛骨粗面(膝の前面に)負荷がかかることにより起こります。
脛骨結節の圧痛や炎症所見、レントゲンやMRIでの画像診断(不整の有無や程度)超音波にて診断されます。
保存療法
1.安静
痛みの程度に応じて原因となっている活動を変更することが挙げられます。最終的には癒合するまで2年ほど持続することもあります。安静にすることで回復が早まるという証拠はありませんが、活動制限は痛みの軽減に効果的です。直接的な外傷から保護するために、脛骨結節に保護用の膝パッドを装着してもよいでしょう。重症で長期化している場合は、短期間の膝の固定を検討することもあります。
2.薬物・注射療法
痛みの緩和には、アイシングやNSAIDs(痛み止め)の使用を一時的には行うこともあります。また当院ではエコーガイド下の注射を行い、痛みの部位に正確な注射を行います
3.手術療法
10代の患者様は年齢と主に通常は上記の保存療法で治癒します。しかし、剥離骨片が認められる終末像を有する例や成人期での遺残性オスグッドの場合は手術療法の対象となることがあります。
手術療法にはドリリングや骨片摘出術があります。当院では骨片摘出術を関節鏡視下に行うなど低侵襲の治療を行っています。
アイシングや大腿四頭筋のリラクセーションなど患部の管理について介入していきます。併せてハムストリングスのストレッチや、大腿四頭筋のストレッチと強化の両方を行うことが有効な手段となります。近年では、スポーツ動作時の過度な後方重心が、脛骨粗面により負荷を増加させることが示唆されており、リハビリテーションでは、膝関節単体ではなく、股関節や足関節への介入も行っていきます。発生要因として大腿四頭筋・下腿三頭筋柔軟性低下などの柔軟性や,大腿四頭筋筋力・ハムストリングス筋力低下、大腿四頭筋の求心性筋力と遠心性筋力のアンバランスという筋力の問題が示されているため、再発や重症化の予防として介入していきます。
オスグッドの予防に効果的なエクササイズはこちらのページをご参照ください
参考文献:
1.整形外科リハビリテーション学会:関節機能解剖学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション.MEDICAL VIEW,2008
2.Hiroyuki Watanabe, PhD, PTら:Pathogenic Factors Associated With Osgood-Schlatter Disease in Adolescent Male Soccer Players: A Prospective Cohort StudyOrthop J Sports Med. 2018 Aug; 6(8)
3.Hannah N Ladenhaufら:Osgood-Schlatter disease: a 2020 update of a common knee condition in children.Curr Opin Pediatr. 2020 Feb;32(1):107-112.
4.James M. Smith:Osgood Schlatter Disease.2020 Jul 29. In: StatPearls [Internet]. Treasure Island (FL): StatPearls
5. 松本秀男:レジデントはどの治療法を選択すればよいのか-日常よく遭遇する疾患-Osgood病.関節外科Vol.38:181-188,2019.
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