社会福祉法人 仁生社
江戸川病院
・手首の小指側にあるTFCCと呼ばれる靱帯と線維軟骨の複合体が損傷する怪我です。
・手をついて転倒し、強い捻じれと背屈(手の甲を反ること)が強制されて怪我をする事が多いです。
・スポーツ等では野球のバッティング、ゴルフスイング、テニスやバトミントンといったラケット競技で好発します。
左:TFCC損傷/右:TFCCの立体構造(引用文献2より)
・主な症状としては、動作時に手首の小指側に鋭い痛みや不安定感が出現します。
・特に手首を小指側に曲げたり、その部位を押さえると痛みが出現します。
・日常生活の動作では包丁を持つような手の構えをしたり、手首を捻ったりする時に症状が出やすいです。
TFCCのMRI画像診断:矢印部で断裂し、白くなっている(引用文献2より)
・画像検査(MRI、手関節造影、単純X線)で損傷の程度を判断します。
・基本的には保存療法を選択し、手関節装具を用いて関節の安静を確保します。
・約4週程度の装具固定で57%に症状の緩和を認めるという報告もあります。
・保存療法で症状が緩和しない場合は手術適応となる事があります。
・手術の場合は概ね6か月で競技復帰を目指します。
・まず、手関節を使うスポーツ動作を禁止し、6週間スプリント固定、その後手関節装具(リストケア等)で3か月固定します。
・それでも痛みが続く場合には手術を考慮します(関節鏡使用でのTFCC修復術)。
<リハビリテーション>
保存療法の場合
・手関節への負担を減らすための手関節装具を使用(固定期間は約6週~12週程度)
・テーピング指導
・手関節周囲筋のストレッチとトレーニング
・肩関節周囲筋のストレッチとトレーニング
・胸郭・肩甲帯ストレッチ
・体幹トレーニング
※スポーツ復帰や日常生活動作の安静度は経過をみながら医師と相談して決定していく。
手術療法の場合
・リハビリプログラムの例
術後~2週 | 2~4週 | 4~6週 | 6~8週 | 8週~3カ月 | 4~6カ月 | |
リハビリ | 指の運動 指の拘縮予防 |
指の運動 肩・肘可動域訓練 |
手首の運動 (手首の曲げ反らし) |
手首の運動 (手首の捻り) ストレッチ |
手関節全可動域の運動 前腕筋の筋トレ |
スポーツ競技への復帰 |
<参考文献>
1.新井ほか:スポーツ整形外科 術後リハビリテーション・プログラム(第7回) 上肢のスポーツ損傷 TFCC損傷(解説).臨床スポーツ医学,Vol.28:313-318,2011.
2.中村俊康:スポーツによる手関節・肘関節障害の治療 TFCC障害の治療法(解説/特集).関節外科,Vol.30:337-343,2011.
3.別府ほか:スポーツ障害・外傷とリハビリテーション テニス.J Clin Rehabil,Vol.21:486-490,2012.
4.Park,et al:The Rate of Triangular Fibrocartilage Injuries Requiring Surgical Intervention.Orthopedics,33(11):806,2010.
5.Pang,et al:Ulnar-sided wrist pain in the athlete (TFCC/DRUJ/ECU).Curr Rev Musculoskelet Med,10:53-61,2017.
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