江戸川病院

社会福祉法人 仁生社

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診療科・部門|スポーツ医学科|前十字靭帯損傷

前十字靭帯損傷

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前十字靭帯損傷

ACL損傷

前十字靭帯(ACL)とは大腿骨(太ももの骨)の後方から脛骨(すねの骨)の前方にあり、大腿骨に対して脛骨が前方に移動したり、回旋したりすることを制御しており膝関節の安定性を担っています。

概要

スポーツ外傷の中でも頻度が高く、特にサッカー、バスケットボール、バレーボール、柔道、スキーなどでよく起こります。ジャンプの着地やターン・カッティング動作中に膝を内に捻ることで生じ、膝が抜けた感じがします。

症状

急性期

受傷直後は疼痛・腫脹のためにスポーツ復帰は困難となります。また、半月板損傷や他の靭帯損傷を合併していることもあり、伸展障害(膝が伸びない)を起こすこともあります。

慢性期

膝の回旋不安定性によって膝がガクッと抜ける(膝くずれ)ことがあります。膝崩れを繰り返すことで2次的な半月板損傷や骨軟骨損傷を生じることがあります。

診断

1.徒手検査

膝のゆるみを用手的に判断します。

2.画像検査

レントゲン、MRIを用いて骨・靭帯の評価を行います。

3.アルスロメーター

脛骨の前方移動量を計測し左右の膝を比較します。

正常なACL
ACL損傷のMRI

治療

まれに前十字靭帯が損傷していても装具を装着しスポーツ復帰可能な場合があります。

しかし

いつ膝崩れを起こすか分からない不安感(apprehension)が強い

頻繁に膝崩れを生じスポーツパフォーマンスが落ちてしまう

今まで通りスポーツを行いたい、またスポーツ復帰をしたい

という場合に前十字靭帯を再建します。

手術までの流れ

受傷後は疼痛や炎症により膝の可動域や筋力が十分でない事が多いため、術前にリハビリを行います。機能が回復し患者様と十分に相談した上で復帰時期などを考慮して手術を決定しています。

手術手順

1.採腱

2.再建靭帯作成

3.骨孔作成

4.再建靭帯固定

ACL再建手術は大きく分けて1~4の過程で行われます。

当院の手術について以下で説明します。

当院での関節鏡システム

手術は直径4mmの関節鏡を

用いて行います。

2カ所の小さな切開から関節鏡を挿入して手術を行います。✔ 脛骨内側の3cmの傷から腱を採取します。

ACL

左:正常なACL/右:損傷したACL

1.採腱

・半腱様筋腱(ST)、薄筋腱(G)

脛骨に付着しているハムストリングの一部を用います。

・骨付き膝蓋腱(BTB)

膝蓋腱の一部を用います

当院では通常、ハムストリングを用い再建術を行っております。

半腱様筋腱が十分な長さ採取できた場合、薄筋腱は用いません。

またスポーツの競技特性にあわせてBTBを用いています。

2.再建靭帯作成

採取した腱を2分割し、それぞれ2重折りにして腱を作成します。

3.骨孔作成

ACL再建術には1重束再建法と2重束再建法があります。

正常なACLは前内側束(AMB)、後外側束(PLB)の2つの束でできています。そのため元々のACLにより近似させるため、大腿骨と脛骨に2つずつ骨孔を作成し再建します(2重束再建法)。

また、大腿骨側の骨孔作成にもいくつかの方法があります。

・経脛骨法

・脛骨の骨孔を利用して大腿骨側の骨孔を作成する方法です

・経ポータル法(in-side out 法)

・膝の皮膚切開部(ポータル)を利用して大腿骨骨孔を作成する方法です

・out-side in法

・特殊なガイドを利用し、外側から大腿骨に骨孔を作成する方法です

それぞれ利点・欠点などがありますが、大腿骨骨孔を独立して阻害される事なく至適な位置に作成できるため当院ではout-side in法を用いて手術を行っています。

4.再建靭帯固定

作成した骨孔にそれぞれAM束とPL束を通して一定の張力で固定します。

再建されたACL

前十字靭帯再建術(STG)プロトコル&自主トレーニング

前十字靭帯再建術(BTB)プロトコル&自主トレーニング

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